社畜ライターのチラ裏

社畜ライターが仕事から離れて好き勝手に書くブログ。

石の上に三年いることは正しいのか。

3年前の今日、何があったかをちょこっと調べてみた。AKBの総選挙で指原莉乃が連覇を果たしたらしい。そうなのか。それは偉業なのだろう。その指原莉乃は既にHKT48から卒業しているし、2位だった渡辺麻友も同様のようだ。時の流れの早さを示している。正直、アイドルにあまり興味がない僕からすればピンと来ない例えだった。調べておいてなんだが。

 

あなたは3年前、なにをしていただろうか。なにも直近の3年でなくてもいい。中学や高校といったわかりやすく3年で区切られる時期もある。その間に、人は成長するし世界は変化していくだろう。

 

中学時代の思い出話をしたい。

 

そう切り出しておいて申し訳ないのだが、まずは小学生の頃のことを話しておこうと思う。名前も忘れてしまった同級生のことだ。

 

彼女はどちらかというと大人しいタイプで、休み時間は自由帳を広げ、いかにも女子小学生が描きそうな可愛らしい絵を描いていた。素人目線ではあるが、とても上手かったように思う。絵心のない僕からすれば、尊敬する出来栄えだった。

 

中学校に上がってしばらくすると、その子は変わった。友人の影響もあるだろうし、多感な時期なればこその変化だとも思う。彼女は、端的に言えばグレた。金髪になり、ピアスをいくつもつけ、授業にもあまり出なくなった。その事実をとやかく言うつもりはない。ただ、大人しかった彼女の変わりっぷりが印象的だった。

 

彼女が変わるまで、およそ3年。いや、決して3年の間に徐々に変わったりしたわけではないだろう。恐らくは彼女のなかできっかけがあって、見える世界が変わり、何かの機会に自分を変えようとしたのだと思う。ただ、僕と彼女は中学で同じクラスになったこともなく、僕が気付いたときには変わっていただけだ。

 

たった3年ととるか、3年もの月日ととるか。いずれにせよ、人が変わるには充分すぎる。人を取り巻く環境は大きく変わる。

 

石の上にも三年。この言葉を振りかざして、新人に「3年以内にやめるやつは根性がない」と教え込む人がいる。僕自身よ今の業界に入るとき、面接で社長から似たようなことを言われた。もっとも、彼の場合は「石の上にも三年というから、3年やってみて次に行きたくなったら行けばいい」というニュアンスだったが。

 

先人の知恵というのは、多くの場合はその通りなのだろう。時は金なりだし、百聞は一見にしかずだ。しかしながら、石の上にも三年は少し違うのではないだろうか。ただでさえ氾濫する情報が、日々刷新される。ブラックホールの存在は明らかになったし、5G規格の通信の導入も時間の問題だ。こんな現代に、3年も待っていたら時代の波に乗り遅れ、5年後には化石になってしまう。それくらい、世界は目まぐるしく進化を続けている。

 

そうは言いながら僕自身、同じ石の上ではないが同じ河原の石の上に3年以上座ってしまった。もちろん、土台となる石は強固になったし、手の届く範囲も増えた。だがそれだけだ。大海を知らない井の中の蛙のような状態になっている。

 

そうなった自分に気付いたとき、彼女のことを思い出した。きっと彼女は、石の上から一歩踏み出したのだろう。井戸の中から大海を目指して歩き出したのだろう。その方向が合っていたのかはわからない。だが、その勇気を僕は尊敬する。

 

きっと怖い。3年も座った石から立ち上がるのも、自分にとって世界の全てだと思っていた環境を抜け出すのも、きっと怖い。だが、変わらなければいけない日はきっと来る。人は誰も、同じままではいられない。だから、勇気を持って一歩踏み出したいと思う。